木材の 『バイオマス利用』 と 『カスケード利用』 の違い
2013/02/12
木材(木質資源)の『バイオマス利用』が注目を浴びていますが、木材産地の製材業者の立場から少し辛口のコメントをさせて戴きます。
「木材のバイオマス利用」というと聞こえが良く、「環境に優しい使い方」というイメージをお持ちの方が多いようですが、もう少し勉強をして戴ければと思っています。
「エネルギー源の多元化・多様化」を図る中で、「木質資源のバイオマス利用」に注目が集まることは結構なことだと思いますが、「燃料として木材を切って、バイオマス発電にどんどん使おう」としていることには少し閉口しているところです。
何十年もかかって育てた木材を使って、一瞬に燃やしてエネルギーを取り出すことは、「木を育ててきた先祖に申し訳ない」と思っている山主さん(山林所有者)が大多数だと思っています。
「間伐材マイスター」の提案は、「木材の『カスケード利用』」に積極的に取り組んで戴きたい……、との思いが一杯です。
「木材のカスケード利用」の概念図 〈林野庁資料から)
聞きなれない「木材の『カスケード利用』」という言葉ですが、木材(原木)を製材して「建材化」して住宅資材・家具等として、また製材端材・末木等は紙チップ・ボード材や家畜敷料として使い、どうしても建材・資材利用できない部分を燃やしてエネルギー転換(バイオマス利用)する方法のことを言っています。
つまり、最初からエネルギー転換するのではなく、建材・資材利用を優先し、利用できない部分をバイオマス利用する「段階的利用」のことです。
加えて、住宅資材・家具となった木材は、経年して役目を終えた時には、燃やしてエネルギー転換することが可能であることも注目されています。
間伐材(小径木)を有効資材に加工する 『丸棒加工機』
木材価格が地域経済を支えられないほど下落し、バイオマス発電した電力が高価格で引き取られるという時代の流れの中で、少し時代遅れの考え方かも知れませんが、「先祖が残してくれた資源を有効利用したい」、「木材を建材として有効利用してほしい」と願う木材産地の地域密着型・木材店の立場から「情報発信」させて戴きました。
丸棒加工されて集荷を待つ『丸棒加工品』 (建材として有効利用されています)
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